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男だって女だって、泣きたい時があるじゃない!(長文です)

2011年 春






僕と彼女は、中学時代からの知り合いで、
社会人になって久しい現在でも、
週に二、三度会っては、他愛もない話をしながら、
お互い、暇な時間を共有していた。

大学の近くにあるせいか、
ここのファミレスは、無駄に騒がしい。

とは言うものの、
僕らはいつも、ここで会っていた。

お互いの住むアパートの中間にあるという、
地理的な条件はもちろんの事だが。

僕にとっては、
この喧騒が心地よかったのかも知れない。

ふと、そんな事を考えた自分が、
妙に馬鹿馬鹿しく思えて、つい笑ってしまった。





「何、ニヤニヤしてんのぉ?」

「べ、別に!
 つーかさ、お前さ!もうちょっと、女の子らしく出来ねぇの?」

つい先刻、運ばれてきたばかりの『ステーキセット、ライス大盛り』は、
もう無くなりかけていた。

「はぁ?何、今さら!あたしら、長い付き合いじゃん!」

「別にいいけどさ・・・そんなんだから男出来ねぇんだよ!」

「はぁ?それはね、世の男どもに見る目がないの!
 こんないい女、そういないと思うんだけどなぁ」

悪びれる風もなく、
最後のステーキの一切れを頬張りながら、彼女は言った。

「お前さ・・・」

「何ぃ?また説教ぉ?」

「ちげーよ!お、お前・・・その・・・好きな奴とか、いない訳?」

「な、何よ!急に・・・いる訳ないじゃん、そんなの!」

明らかに彼女の表情が変わった。
僕にはずっと、彼女に対して抱き続けてきた、ひとつの推測があった。
その推測が、今の彼女の表情で、確信に変わりつつあった。

「もしかして、お前、まだファンガツの事・・・」

「関係ないじゃん!!!」







彼女の、思いのほか大きな声に、
あれだけ騒がしかった店内が一瞬にして静まり返った。

僕は辺りを見回し、
声にならない声で「すみません」とつぶやきながら頭を下げると、
またすぐに、店内は何事もなかったかのように喧騒を取り戻した。

視線を彼女に戻すと、
彼女は下を向いたまま黙っていた。

騒がしい店内とは明らかに違う、このテーブルだけに漂う重い空気に、
息が詰まりそうだった。

しかし、ここまで言ってしまったんだ。
思っている事を彼女にぶつけよう。

僕は、そう決心した。

「悪い!・・・でもさ、ファンガツが死んでから、もう6年も前だぜ?
 もう次に進んでもい・・・」

「だから違うってば!」

僕の言葉を遮った彼女は、
今にも泣きだしそうな表情を堪え、無理して強がっているように見えた。

「急に『あっ!俺、空飛べるかも』っつってベランダから落ちちゃってさ、
 あんなバカ・・・死んで当然よ!」

彼女には中学時代から付き合っていた男がいた。
僕の親友でもある男だった。

よく三人で一緒に遊んだものだ。
このファミレスにも、よく三人で来ていた。

そんな彼が、6年前・・・突然、命を落とした。
居て当たり前の奴が・・・突然、居なくなった。

彼女のとなりに彼がいないという構図に慣れるまで、
僕自身、随分と時間がかかったものだった。

もちろん、心の底から愛し合っていた彼女の落ち込みようも、
とてもじゃないが、見ていられない程だった。

僕が彼女を支えてやらなければ。

口にした事はないが、
僕はそんな思いで今日まで彼女と接してきた。







「強がんなよ!俺の前では・・・強がんなくてもいいよ」

「日輪井・・・」

「お前、まだファンガツの事、引きずってんだろ?」

「・・・・・・」

「もうメシ喰い終わったろ?付いて来いよ!」





この時、僕は自分の言動が自分で信じられなかった。

奔放で言いたい事を言うファンガツとは対照的に、
僕は優柔不断で引っ込み思案。

そんな自分が今、
半ば強引に彼女の腕を掴んでいる。




「ちょっと!日輪井ってば!どーすんのよ!」

そう言う彼女だったが、
僕の手を振り払う訳でもなく、半信半疑といった表情で、
僕を見つめていた。

「行きゃ分かる・・・黙って付いて来いよ!」









夜の街を10分程歩いて、ハッと気付いた。
ファミレスを出てからずっと、彼女の手を握ったままだった事に。

僕は急に恥ずかしくなってきた。

いや、考えてみれば、
こんな強引な方法で彼女を連れだした事自体、
全くもって自分らしくない。

僕は一体、何をやっているのだろう。

そんな僕の心情が、
すれ違う人々に見透かされてるように思えて仕方なかった。

しかしまた、
彼女も、それを拒否する様子はなかった。

「ねぇ、日輪井・・・どこまで行く気?」

「もうすぐ着く」

僕は、ぶっきらぼうに答えた。

彼女もそれっきり口を閉ざした。






それから程なくして、
目的地に近づいた、その時だった。

ずっとうつむいたままだった彼女が、
ふとその建物を見上げた瞬間、歩みを止めた。
僕とつないだ手に力が籠るのが分かった。

「ちょっ・・・ここって・・・」

「あぁ」

そこは、
彼女とファンガツが当時暮らしていたマンションの前だった。
つまり、それは同時に、彼が命を落とした場所でもあった。

彼女の潤んだ瞳から、一気に涙がこぼれ落ちた。

「どういうつもりよ!!!あたしをからかってんの?」

「・・・っぽ・・・んだよ」

「えっ?」

「新しい一歩を、踏み出すんだよ」

「何よ、それ・・・意味分かんないよぉ・・・」

「黙って見てろ」

そうつぶやいた時、
僕はずっと握っていた彼女の手をやっと離し、
彼女から二、三歩離れて、マンション越しに見える夜空を見上げた。

そこに星は見当たらなかったが、
不思議と、あいつの笑顔が見えるような気がした。

それから僕は、目を閉じ、大きく息を吸いこんだ。
彼女が、どんな表情で僕を見ているのかは分からなかった。




僕は、かまわず、大声で叫んだ。



「ファンガツーーーーーーっ!!!!聞いてるかーーーっ!!!
 俺は!・・・俺は!・・・こいつの事が大好きだ!!!
 俺は・・・お前みたいに馬鹿な死に方なんてしない・・・
 俺が!一生かけて、こいつの事を守ってみせる!!!
 一生、こいつの事を愛し通す!!!
 文句ねぇだろーーーっ!!!ファンガツーーーっ!!!」


1時間も2時間も走り続けたかのような錯覚に陥り、
膝に手をつき、ぜいぜいと息を切らす僕に、
彼女はゆっくりと近づいてきた。

「日輪井・・・あんた・・・」

「俺は・・・『幸せにする』って言い方が好きじゃない・・・」

「えっ?」

「幸せってさ、貰ったり与えたりする物じゃない、一緒に作る物だと思うから・・・
 だから・・・める子!!!
 俺と一緒になれ!二人でいっぱい・・・幸せを作ろっ!!!」

「日輪井・・・」

そうつぶやくと、
彼女の瞳から、また涙がどっとあふれ出した。



この時、僕は生まれ変われた気がした。
奔放で言いたい事は何でも口にする、
彼女がかつて愛した、あの男に近づけた気がした。



「める子・・・
 お前の止まったままの心の時計・・・俺が動かしてやるよ!!!」
























める子「いや、結構です!!!」

ババァーーーン!!!







---エンディング---





知らず知らず イジってきた
細く長い この膣

振り返れば 遥か遠く
お豆ちゃん見える

でこぼこ膣や 曲がりくねった膣
ゴムさえ無い それもまた人生

あぁ 汁の流れのように
ゆるやかに
いくつも 腿を伝い落ちて

あぁ 汁の流れのように
とめどなく
シーツがエロ染みに 染まるだけ





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comment

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No title

オモロイ!

長文ですって言いながら本当に長文で笑い

あまりにも本格的なので肩揺らしながら読んでました

でも途中の

>急に『あっ!俺、空飛べるかも』っつって

は、欲しかったんだろうなぁ笑いが

真面目に書いて落とすぞって思いながらもついつい書いちゃったんだろうなぁ

おもろかった!

あ、一応拍手もさせていただきました!!

No title

いい話なのかと思ったらwww
あとひばりに謝れwwwwww

No title

ずっとフランクな話し方だった『める子』が
断るときだけ丁寧な言葉になったのが笑いました。

幸せな人が一人もいない物語でしたね。

No title

「いや、結構です!!!」って完全なる拒絶じゃんかよ!(笑)
おもろかったw

あれれ?落ち無しかな?と思わせつつも
最後はやっぱりお決まりのババァーーーンで締めるww
さすがです!

エンディング曲が話とはなんも関係無いのが
さらに良かったです!

No title

いろいろ騙されたwwwww

今回、最初のほうで登場人物の名前が無かったじゃないですか?
だから男のほうはケンス・・・じゃなくてファンガツさんかな?と思って
読んでいたら、すでにケンスk・・・ファンガツさんが死んでる!?
で、男の正体が、まさかの日輪井さん!!

「え?これはまさか、俺の書いた話の続編か?」と思い、さらに読み進め、
じゃあ、女のほうは誰なんだろう?と、とにかく続きが気になりました。

で、最後の最後で、まさかの「める子」!!!www

しかもお下劣オチ!!!

やられました・・・

っていうか、ケンスケさ・・・あ、いや、ファンガツさんも真面目なストーリーのまま
終わらせるのが不安だったのでは?

などと邪推します(笑)

ボソッ(きゃらめるさん、この話見に来てほしいな・・・)

No title

普段、友達だと思ってた人が
ある時から、ぐぐっと、キモチが傾くときって
あるとか、ないとか。

それは一過性のものかもしれない。
確信めいたものはなにひとつないのかもしれない。
まっすぐ見て。お互いを見て。
そして気づくキモチ。

・・・登場人物そしてエンディングの歌w
胸キュンした、私のココロが、いい意味で裏切られ。
あげて、落とす。よっ。このちょい悪おやじ!

No title

うまい!
オチまでの文章の尺が絶妙です。

オチがあるぞ、オチがあるぞと思いながらも物語にぐーっと引き込まれるうちに
オチのことなんか忘れて、日輪井さんエエ奴やん!とか思ったらまさかの「いや、結構です!!!」www


めっちゃ笑っちまいました。

でも、なんだかスンゲー悔しいw

こちらの感情をコントロールされてるようで悔しい!

ケンちゃんのブログはいっつもなんだか悔しいぞぃ!!

No title

わ!

実はコレ、
裏・溝丸さんのブログに書いたコメに
『返コメアップされてないかな』と思って
「裏」だけに反応してこっちを間違って開いて
一気に下までスクロールしたので
【める子】の文字を最初に見ちゃったんです><
(説明長っ)

そんなわけであたしがどこかに登場するんだな
っていう変なドキドキ感の中読ませていだたきましたw

こういう恋愛設定大好きなので自ら入り込んで読んでました
が、日輪井の文字が出てきてからは
せつなさと笑いが入り混じった複雑な気持ちになり…w

(ヒワイという単語で取鳥さんしか思い出せなくなってるなんて
3カ月であたしも変わったなぁ…)

それでも文章がうまいので日輪井さんがかすめつつも
物語のめる子と同じタイミングでウルウルきてました

最後のオチww
あたしだったらなんて言ってたかななんて本気で考えちゃいましたw


めちゃくちゃおもしろかったです♪

取鳥さん


僕の死んだ理由のところ・・・大正解です。

最後のオチまでは面白要素ゼロにしたかったんですが・・・

えぇ、我慢できませんでした(笑)

おきゃんTさん


ちょっと、いつもと毛色を変えてみようかなと。

書き上げた時、
何故か、この歌が頭の中に流れたもので(笑)

渋谷店さん


新しいものにチャレンジしてみましたが、
楽しんでいただけましたかな?

> 幸せな人が一人もいない物語でしたね。

ホントだ・・・(笑)

裏・溝丸さん


極力ふざけずに、
ちょっと読者の涙を誘ってみたかったんですが・・・

やっぱりオチをつけてしまった(笑)

マッピーさん


敢えて登場人物の名前を出さないで始めてみたんですが、
見事にハマってくれましたね!

当初は、マッピーさんみたいに、
オチ無し小説をやってみたかったんですが・・・

怖かったんです!!!(笑)

ponさん


え?ずっと友達だと思ってたのに!的な?
いいですよねぇ、こーゆーのって。

これだから、男女の恋愛話ってのはやめられませんな!

これから、当ブログは、
胸キュン路線でがんばります!!!(嘘)

クッタスさん


たまには、こんなのも放り込みますよ!

どうですか?
僕だって、やれば出来るでしょ?

昭和テレビネタ入れなくても出来るでしょ?(笑)

きゃらめるさん

あざーっす!!!

今回、重要な役回りを、
勝手にきゃらめるさんに担って頂きました!

喜んでもらえたようなので・・・
よーし!
調子に乗って、また恋愛系の話を書いてみます(笑)

もし、きゃらめるさんの実生活で、似たような場面が来たら・・・
「いや、結構です」使っていいですよ!
「ババァーーン!!!」までセットで譲ります(笑)

No title

オチが秀逸ですね!

日輪井に関しては、どの口が言っているんだwww

というツッコミ満載でしたが、
読みいっちゃいましたよ♪

温度差さん


OL系女子の為に、
泣ける恋愛小説を書くつもりだったんですが・・・

結局、いつも通りに(笑)
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