■第7話『上昇』
「どーする?俺っ!!!」夜の帳の中、温度宮は1人葛藤していた。
遡る事、数時間。
土曜日、夕方。
4人は、とあるバス停に降り立っていた。
そして、ファン持と温度宮は若干勃っていた。しつこい。
路線バスを降りて数分後、琴乃と凛香は立ち止まった。
しかし、ファン持と温度宮の勃ちは止まらなかった。しつこい。
「ここのスーパーで夕飯の買い物していっていい?ここ過ぎちゃうと、お店とか無くなっちゃうんだよね」
琴乃がそう言うと、今度は凛香が口を開いた。
「今夜はね~・・・琴乃とあたしで料理を作りまーす!」
「えっ?2人の手料理?・・・困ったなぁ・・・」
「あ・・・もしかして・・・こういうの、迷惑?」
「いや、そうじゃなくてさ。今、地球上で2人の手料理食べられるの俺らだけでしょ?全人類を敵に回しちゃったかなって」
「ファンガツくん、大袈裟だよぉ!(笑)」
「困ったなぁ・・・」
「えっ?温度差くんも?」
「だって、ファンガツ先輩と俺・・・『凛香ちゃんと琴乃ちゃんの手料理を食べた男』としてギネス載っちゃうじゃん!」
「ない!ない!ない!(爆笑)」
そんな会話をしながら、4人はスーパーへ入っていった。
「ところで・・・何を作ってくれるの?」
カートを押しながら、温度宮は尋ねた。
「あ!あたしたちね、そんなに料理得意って訳じゃないから・・・ベタだけど、カレーなんてどうかなぁ?」
温度宮は考えた。
カレー
↓
トロトロのルゥ
↓
あたし、もうトロトロよ
「カレー大好きッス!!!」温度宮の角度は
五十度に達した。
「あ!そしたら、白いご飯はどうする?出来合いのヤツ買う?」
ファン持は尋ねた。
「それなら大丈夫!別荘にお米常備してるから」
ファン持は考えた。
お米
↓
オコメ
↓
オメ・・・
「お米大好きッス!!!」ファン持の角度も
五十度に達した。
カレーに必要な材料をほぼ選び終えた時、凛香が口を開いた。
「ねぇ・・・お酒も買っちゃう?」
「お酒・・・?」
ファン持と温度宮は考えた。
お酒
↓
泊まりでお酒
↓
酒池肉林
「ったく!しょーがねーなぁ!!!」2人の角度は
百八十度に達した。
土曜日、夜。
「いや~、さっきのカレー、ほんっと美味しかったよ」
夕食を終えた4人は、大きなリビングの床に座りながら、缶ビールや缶チューハイを手にしていた。
「俺・・・これからも琴乃ちゃんの手料理、食べたいな」
「ちょっ・・・急に何言ってんの?ファンガツくんったらぁ!いつものアレ?雑に口説くヤツ?」
「俺、今、本気で言ってるんだけど?・・・ダメかな?」
「えっ?・・・うん・・・こんなので良かったら、これからもファンガツくんに食べて欲しいよ・・・」
「じゃあ・・・俺と付き合ってくれる?」
「・・・うん」
「ちょっと~!な、なに2人でいい感じになってるのぉ!あたしも温度差くんもいるんだよ?そういうのは2人っきりの時にしてよ~!でも・・・カップル成立だね!琴乃、おめでとっ!」
「凛香ちゃん・・・」
「な、なに?温度差くん」
「もう1組、カップル成立させない?」
「えっ?」
「俺は、凛香ちゃんの事、大好きだよ。初めて会った日から、凛香ちゃんの笑顔が頭から離れないんだ。だから・・・」
「嬉しい・・・あたし、温度差くんがあたしの事好きだったらいいなって思ってたから・・・今、すごく嬉しい・・・」
「なんだよ~、そっちこそ俺らのいる前で!まぁ、でも、忘れられない夜になったね!改めて、乾杯しない?」
「いいね!いいね!」
「それじゃ・・・俺たち4人の記念日に、乾杯!」
「カンパ~イ!!!」
土曜日、深夜。
酒に慣れていないファン持は、酔い潰れて爆睡していた。
酒に慣れていない凛香も、酔い潰れて爆睡していた。
酒に慣れていない琴乃は・・・
酔っぱらって、温度宮にもたれ掛かっていた。「どーする?俺っ!!!」夜の帳の中、温度宮は1人葛藤していた。
ダブルデート~深夜編~につづく。
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