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人気刑事ドラマシリーズ 第720話(最終回)

電車の中で、
女は一人、高揚感に浸っていた。




いつもなら神経を無性に逆なでする、
あの女子高生特有の品のない大きな笑い声も、
何故か、今はまったく気にならなかった。

それどころか、
ドアのガラスにうっすらと映る自分の姿以外、
今の彼女の感覚の中には、何も存在しなかった。






人間を殺すのは、これで何度目だろう・・・






そう考えると、
つい先刻、また一人殺したばかりなのに、
すぐにムラムラとしてくる。




ハッと我に返る。
ドアのガラスに映る自分の頬が紅潮していた。

もしかしたら今、ニヤけてたかも、と思うと、
何だか妙に恥ずかしくなった。








女は京王線の電車を降り、
夕暮れの上北沢商店街を歩いていた。

夕飯の買い物をする主婦や、
学校帰りの学生などで賑わう通りを、
女はゆっくりと歩く。

すると一軒の八百屋の店主が声を掛けた。

「っらっしゃい!お嬢さん、美人だねぇ~!
 特別にまけるから、何か買ってってよ!!!」

「あはっ・・・そんなぁ」

「ホントだよぉ!俺、美人には弱ぇんだよな!」

「じゃあ、柚子・・・ありますか?」

「おっ!ちょうど今日、いいのが入ってきたんだよ!」

八百屋の店主は、慣れた仕草で、
陳列棚の下から段ボール箱を取り出して見せた。

「わぁ、ホントに美味しそうですね!」

「だろう?サービスしちゃうから!何個にします?」

「じゃあ・・・・・・・全部」

「え?・・・全部って・・・これ60個入りだよ?」

「いいんです。全部ください!」

「で、でも・・・こんなにたくさん、一体何に使」

「人間を殺すに決まってんだろ!!!」






女の顔には、先程までの笑顔はなく、
突き刺さるような冷たい視線で、八百屋の店主を見下ろしていた。

店主は思わず腰を抜かし、
尻もちをついた拍子に柚子の入った段ボール箱をひっくり返してしまった。

女は、自分の足元に転がってきた柚子を一個取り上げ、
独りごちた。





「あぁ・・・この柚子の香り、たまらないわぁ・・・」

















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